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Week 12 — 核融合
2026.10.23  ·  金曜 / 核融合7社比較

核融合7社比較——値段の差を決めているのは、核融合ではなくAIへの近さだった

今週は、核融合に関わる上場企業を5社見てきた。月曜に立てた物差しは3つだった。

  1. 本業の利益で説明できる株価か
  2. 核融合の売上はどれだけあるか
  3. 核融合が実現しなかったら何が残るか

今日はここに、フジクラと同じ電線メーカーの古河電工と住友電工を加えて、7社を並べる。2社とも核融合の部材に関わっている。

新しく加える2社

会社核融合との関わり
古河電工英国の核融合企業トカマク・エナジーに2023年12月に出資。2026年6月には、英国での高温超電導線材の生産の可能性を探る協業を深めることで合意した。京都フュージョニアリングのグループ会社Starlight Engineにも出資している
住友電工グループのアライドマテリアルが、ITER(国際熱核融合実験炉)の部材を製造している。1億度を超えるプラズマに面する「ダイバータ」に使うタングステンの部品を、欧州向けに約3万2,000個納め終え、日本が担当する分も量研機構から全数を受注して半分強を納めた

住友電工の部材は、フランスで建設中のITER向けだ。研究開発の段階ではなく、実際の装置に組み込まれる部品をすでに量産して納めている。

表1:核融合への近さ

会社核融合での役割方式上場
ジェネラル・フュージョン会社のすべてが核融合。実証装置LM26を開発中磁化標的米ナスダック
助川電気工業研究機関向けの溶融金属ループなど。量研機構向けが売上の13.3%研究装置全般東証スタンダード
住友電工ITERのダイバータ用タングステン部品を量産・納入磁場型(ITER)東証プライム
フジクラ高温超電導線材。CFSの供給パートナーで、CFSの株主でもある磁場型東証プライム
古河電工高温超電導線材。英トカマク・エナジーに出資し協業磁場型東証プライム
浜松ホトニクス半導体レーザーで動かす固体レーザーで世界最高クラスの出力レーザー型東証プライム
コヒーレント米国の実験施設NIFに大型レンズを納入。半導体レーザーレーザー型米ニューヨーク

上に行くほど、会社の中で核融合の比重が大きい。

表2:何で稼いでいるか

会社主な稼ぎ直近の業績
ジェネラル・フュージョンなし(研究開発段階)売上なし、赤字
助川電気工業原子力・研究機関向けの温度制御機器、半導体製造装置向けのヒーター今期の純利益予想+13.7%
住友電工自動車のワイヤーハーネス(売上の約6割)、情報通信、電力ケーブル今期の営業利益予想+7.6%。4〜6月期は情報通信の営業利益が81億円から272億円に
フジクラデータセンター向けの光部品(営業利益の9割超)今期の営業利益予想+128.9%
古河電工データセンター向けの光ファイバー・部品、電力ケーブル、自動車部品今期の営業利益予想+92.6%
浜松ホトニクス光センサー(医療・分析・半導体検査向け)3年続いた減益から回復途上。今期の営業利益予想+36.1%
コヒーレントデータセンター向けの光トランシーバー(売上の約8割)2026年6月期の売上+22.5%

フジクラ、古河電工、住友電工の電線3社は、今期そろって業績予想を引き上げている。3社とも、生成AIのデータセンター向けの光部品が業績を押し上げている。

表3:評価を並べる

会社時価総額PERPBRROE理論PBR実際÷理論配当利回り
コヒーレント約7.3兆円56.6倍約4.2倍約7.4%0.92倍4.59なし
浜松ホトニクス6,795億円35.2倍1.98倍4.4%0.55倍3.601.79%
フジクラ7.4兆円21.3倍12.41倍32.5%4.06倍3.050.91%
助川電気工業253億円26.4倍4.87倍17.4%2.18倍2.241.21%
古河電工2.0兆円19.4倍4.90倍19.1%2.39倍2.050.76%
住友電工5.8兆円16.8倍2.08倍14.7%1.84倍1.132.13%
ジェネラル・フュージョン約611億円―(赤字)―マイナス――なし

※株価指標は2026年10月20日〜23日の各社の個別記事時点の値(米国株は直近の米国市場の値)。円換算は1ドル=158円で概算。 ※理論PBRはROE÷資本コスト8%。実際÷理論の大きい順に並べた。 ※PERはコヒーレントが実績(会社見通しから概算すると約30倍)、それ以外の日本株は予想。 ※コヒーレントのPBR・ROEは2026年6月期の決算から計算した値。その他のROEはデータソースの実績値。 ※住友電工は今期の純利益が前期比8.0%減の予想のため、予想PERは高めに出ている。

上乗せは「AIへの近さ」の順に並んでいる

いちばん分かりやすいのは、電線3社の並びだ。

核融合での役割データセンター向けの比重実際÷理論
フジクラ高温超電導線材、CFSの株主営業利益の9割超3.05
古河電工高温超電導線材、トカマク・エナジーに出資主要な増益要因2.05
住友電工ITERの部材を量産・納入売上の約6割は自動車1.13

3社とも核融合の部材メーカーだ。しかも、ITERに実際の部品を量産して納めている住友電工が、核融合への関わりではいちばん「実績」がある。それなのに、上乗せはいちばん小さい。

上乗せの順番は、核融合への関わりの深さではなく、データセンター向けの事業がどれだけ大きいかの順に並んでいる。コヒーレントの4.59も同じ理由だ。

核融合で値段がついているのは2社だけ

表3の中で、核融合への期待が株価を直接動かしているのは、助川電気工業とジェネラル・フュージョンだけだ。そしてこの2社は、木曜に書いたとおり、どちらも期待がいちばん高かったときから株価が半分以下になっている。

浜松ホトニクスの3.60は、ROEが4.4%まで落ちていることの裏返しで、本業がかつての稼ぐ力に戻ることへの期待だ。核融合ではない。

表4:未上場の米国勢

今週の副題は「未上場の米国勢を、日本の部材メーカーが支える」だった。本命と見られる米国の会社は、今も多くが未上場だ。

会社方式状況日本とのつながり
CFS磁場(トカマク型)累計約30億ドルを調達。2027年に実証装置SPARCの初プラズマ、2030年代前半に商用炉ARCの送電を目指すフジクラが線材を供給し出資。関西電力、三井物産、三菱商事など日本企業12社が出資
ヘリオン・エナジー磁場(独自方式)マイクロソフトとの契約で2028年末までの運転開始を目指すが、フル出力は2029〜2030年以降と説明―
TAEテクノロジーズ磁場(独自方式)トランプ・メディアとの合併で上場予定。2026年10〜12月期までの完了を目指す―

CFSに投資したい個人投資家が、上場株で直接たどり着けるのはフジクラくらいだ。ただ、フジクラを買うと、持つことになるのはほとんどがAIデータセンターの行方になる。

今週わかったこと

月曜に、核融合は「期待」の究極の形だと書いた。今週の7社を並べると、上場株で核融合に関わる方法は、実質的に2つしかなかった。

選び方当てはまる会社持つことになるもの
AI株に、核融合の選択肢がついたものフジクラ、古河電工、コヒーレント(住友電工も一部)AIデータセンターへの投資の行方
核融合そのものジェネラル・フュージョン、(小さな本業つきで)助川電気工業核融合の研究開発の成否

前者は、核融合が遅れても本業が残る。ただしその本業は、先週の日本電子材料のように、AIの見通しが揺らげば大きく動く。後者は、核融合への期待がそのまま株価になる。そしてこの1年で、その期待はすでに大きく剥がれた。

Week08の原子力では「テーマを、やっている会社ほど安く、語っている会社ほど高い」と書いた。核融合では、少し違う形が見えた。値段の差を決めているのは、核融合をやっているかどうかではなく、AIにどれだけ近いかだ。核融合は、どの会社の株価でもまだ「おまけ」か「期待」でしかない。

最後に、自分の買い方から見ておく。7社のうち、配当利回りが2%を超え、実際÷理論が1に近いのは住友電工だけだった。ITERに部品を量産して納めている会社が、7社の中でいちばん上乗せの小さい値段にいる。核融合のテーマ株を探して見つかったのが、核融合ではほとんど評価されていない会社だった、というのが今週の結論だ。

7社とも保有していない。

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