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Week 10 — 金融
2026.10.07  ·  水曜 / ジャックス(8584) 深掘り

ジャックス——配当利回り5.8%、配当性向は約90%

保有中(含み損 -8.54%/2026年10月7日時点)

この株は配当狙いで持っている。予想配当は年200円、今日の株価3,430円で計算すると配当利回りは5.83%になる。

ただし含み損は-8.54%。先週は-8.27%と、自分のポートフォリオで最も大きく下げた銘柄だった。

月曜の記事で、ジャックスのようなノンバンクは金利上昇で調達コストが上がる側、つまり逆風を受ける側だと書いた。昨日のSBI新生銀行は、追い風のはずなのに株価が評価されていなかった。ジャックスは違う。逆風は実際に利益を削っている。

配当狙いで持っている以上、問うべきことは一つだ。年200円は守られるのか。

どんな会社か

ジャックスは信販大手だ。信販とは、商品の代金を立て替えて分割払いを可能にするサービスのことで、ジャックスはクレジットカード、オートローン(自動車ローン)、住宅リフォームのローン、家賃保証などを手がけている。ベトナム、インドネシア、フィリピン、カンボジアなどアジアでも事業を展開している。

月曜に整理した通り、ノンバンクは預金を集められない。銀行からの借入や社債の発行でお金を調達し、それを貸し出して稼ぐ。金利が上がれば、まず調達コストが上がる。

もう一つ押さえておきたいのが、株主構成だ。2025年3月、三菱UFJ銀行はジャックスの第三者割当増資を引き受け、約390億円を追加出資すると発表した。発行されたのは998万株、1株3,916円。三菱UFJ銀行の出資比率は約2割から約4割に引き上げられ、2026年6月時点の議決権所有割合は40.18%になっている。

ジャックスは、メガバンクが4割を持つ信販会社だ。

利上げは、決算にどう出ているか

まず前期と今期の数字を並べる。

2025年3月期2026年3月期2027年3月期(会社予想)
営業収益1,909.78億円1,923.15億円(+0.7%)1,925億円(+0.1%)
営業利益257.32億円204.14億円(-20.7%)110億円(-46.1%)
経常利益257.65億円202.58億円(-21.4%)110億円(-45.7%)
純利益186.20億円153.14億円(-17.8%)100億円(-34.7%)
1株配当—200円200円

売上はほぼ横ばいなのに、利益は2期続けて大きく落ちる。今期の会社予想では、営業利益は2年前のおよそ4割の水準まで下がる。

第1四半期(2026年4〜6月)の決算で、会社は減益の理由をはっきり書いている。

項目1Q実績前年同期比
営業収益492.81億円+3.3%(1Qとして過去最高)
営業利益60.35億円-4.1%
経常利益60.66億円-3.8%
純利益41.63億円-5.7%

売上は過去最高だったが、調達金利の上昇に伴う金融費用の増加とシステム関連費用の増加で、利益は減った。国内では住宅リフォームや家賃保証が堅調だった一方、利上げの影響でクレジットの申込が減速した。海外ではインドネシアの事業構造改革で取扱高が減り、海外セグメントは小幅な赤字になっている。

月曜に書いた「ノンバンクは調達コストが上がる側」という構図が、そのまま決算に出ている。しかも利上げは、調達コストを上げるだけでなく、お客さんがローンを組む意欲そのものも冷やしている。逆風は、費用と売上の両方から吹いている。

一点だけ補足しておく。1Qの経常利益60.66億円は、会社の上期計画60億円をすでに上回り、通期計画110億円の55.1%に達している。アナリストの通期予想の平均は150億円で、会社の計画はかなり保守的だ。この週に見てきたSBI新生銀行と同じく、会社の予想と足元のペースにはずれがある。

増資で、株数が約3割増えた

1Qの数字には、もう一つ注意が要る。

2026年3月期1Q2027年3月期1Q変化
純利益44.15億円41.63億円-5.7%
1株利益127.03円92.98円-26.8%

純利益は5.7%しか減っていないのに、1株利益は26.8%減っている。差を生んでいるのは、三菱UFJ銀行向けに発行した998万株だ。発行済株式数が約3割増えたため、同じ利益でも1株あたりに割ると大きく目減りする。

これは配当にも効いてくる。1株200円の配当を維持するということは、株数が3割増えた分、会社が払う配当の総額も約3割増えるということだ。

年200円は、何に支えられているのか

ここが今日の本題になる。

ジャックスは中期経営計画で、株主還元の方針を「配当性向40%またはDOE3%」「1株200円以上の安定的な利益還元」と示している。

DOEは株主資本配当率のことで、1株配当を1株純資産で割った数字だ。配当性向が「稼いだ利益のうち何割を配るか」なのに対し、DOEは「持っている純資産のうち何%を配るか」を示す。利益が減っても、純資産が大きく変わらなければ配当を維持できる仕組みだ。

今期の数字に当てはめる。

項目数値
予想配当年200円
予想1株利益(PER15.4倍から逆算)約223円
配当性向約90%
1株純資産(PBR0.52倍から逆算)約6,600円
DOE約3.0%

配当性向は約90%。会社が掲げる40%を大きく超えている。一方でDOEは約3.0%で、方針のもう一つの基準にちょうど乗っている。

つまり、今の200円は利益ではなく、純資産に支えられている。 利益の4割を配るだけなら1株90円前後にしかならない。DOE3%と「200円以上」という下限があるから、利益が大きく落ちても200円が維持されている。

配当狙いで持っている立場からは、安心材料ではある。ただし、この構造には限界がある。

予想ROE(会社予想の純利益100億円を、決算短信の自己資本約2,990億円で割ったもの)は約3.3%。DOEは約3.0%。稼ぐ力が、配る量をわずかに上回っているだけだ。利益がもう一段落ちてROEが3%を割れば、会社は純資産を取り崩して配当を払うことになる。純資産が減れば、DOE3%で計算される配当も少しずつ減っていく。

先週の下落を振り返る

先週の土曜の記事では、ジャックスの-8.27%の理由として、半導体への資金移動と配当の権利落ちを挙げた。

ジャックスの中間配当は1株100円(年200円の半分)だ。株価3,700円前後に対して、100円は約2.7%にあたる。-8.27%のうち、約3分の1は権利落ちで説明できる。

昨日のSBI新生銀行は中間配当が10円で、権利落ちの影響は約0.7%にすぎなかった。同じ週に同じように下げた2社でも、配当の大きさによって、権利落ちが下落に占める比重はまったく違う。配当利回りの高い銘柄ほど、権利落ち日の下げは大きく見える。

指標を確認する

2026年10月7日時点の数字。

項目数値
株価3,430円
時価総額1,545.6億円
予想PER15.4倍
PBR0.52倍
ROE(実績)5.6%
配当利回り5.83%(予想年間配当200円)

PBR0.52倍は、解散価値の半分程度の値段だ。数字だけ見れば非常に安い。

ただし、理論PBRで見るとどのROEを使うかで結論が逆転する。

基準ROE理論PBR(÷資本コスト8%)実際÷理論
実績(2026年3月期)5.6%約0.70倍約0.74
会社予想(2027年3月期)約3.3%約0.42倍約1.24

前期の稼ぐ力で見れば、理論値より約2割半安い。今期の会社予想で見れば、理論値より約2割半高い。PBR0.52倍という安さは、今期の利益の落ち込みでほぼ説明できてしまう。

どちらのROEで見るかは、利益がどこまで戻るかの見通し次第だ。中期経営計画は2028年3月期に最終利益230億円を目標にしているが、今期の会社予想100億円とは2倍以上の開きがある。

参考までに、三菱UFJ銀行が増資を引き受けた価格は1株3,916円だった。今日の株価3,430円は、その約12%下にある。メガバンクも、この株では含み損を抱えている計算になる。

保有している立場から

配当狙いで買った判断を、今日の数字で振り返る。

取得単価は約3,750円で、含み損は-8.54%。一方で、取得単価ベースの配当利回りは約5.3%(200円÷約3,750円)ある。今の配当が続けば、含み損の分はおよそ1年半の配当で取り戻せる計算になる。

配当狙いという目的に対しては、今のところ機能している。 利益が大きく落ちる中でも、中期経営計画が「1株200円以上」を明記し、DOE3%という純資産に紐づいた基準がそれを支えている。

継続保有する。ただし、昨日のSBI新生銀行とは持つ理由の性質が違う。SBI新生銀行は、会社の中身が育っているのに値段がついてこない銘柄だった。ジャックスは、会社の稼ぐ力は落ちているが、配当は約束で守られている銘柄だ。持つ理由は事業の成長ではなく、配当の約束にある。

だから、売却を考える条件も配当に紐づけておく。

一つ目は、配当方針が変わったとき。 「1株200円以上」という下限が外れたり、DOEの基準が引き下げられたりすれば、この株を持つ理由そのものがなくなる。今の中期経営計画は2028年3月期までで、次の計画で方針がどうなるかは必ず確認する。

二つ目は、ROEがDOEの3%を継続的に下回ったとき。 そうなれば、配当は純資産を削って払われることになる。それが続けば、約束された配当でも持続できなくなる。

11月上旬の中間決算で、上期計画60億円をどれだけ上回って着地するか、そして通期計画110億円を引き上げるかを見る。利益が計画より上振れれば、配当性向90%という綱渡りは少し楽になる。

明日はオリックスを扱う。リースを本業にしながら、生命保険、不動産、投資事業まで抱え、そして今年、傘下の銀行を手放すことを決めた会社だ。金利上昇の追い風と逆風が、一つの会社の中でどう打ち消し合っているのかを見る。

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