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Week 10 — 金融
2026.10.10  ·  土曜 / 今週の自分株まとめ

今週の自分株まとめ——週間+673,283円、金融が下落TOP3から消えた週

土曜恒例、今週の自分株まとめ。

今週の週間損益は +673,283円。 先週の-406,259円から、2週ぶりのプラスに戻った。

今週は金融をテーマに、保有しているSBI新生銀行、ジャックス、オリックスを見てきた。その金融株は、今週のTOP3には上昇側にも下落側にも入っていない。

これは小さな変化ではない。この3週間、自分のポートフォリオの下落TOP3には、毎週のように金融や金利に関わる銘柄が並んでいた。その流れが、今週止まった。

今週の騰落TOP3

上昇

順位銘柄騰落率
1スペースX(SPCX)+8.89%
2サンバイオ(4592)+8.29%
3日本電子材料(6855)+8.20%

下落

順位銘柄騰落率
1辻・本郷ITコンサルティング(476A)-14.18%
2IonQ(IONQ)-10.21%
3フォームファクター(FORM)-7.50%

金融が下落側から消え、AIが下落側に来た

この4週間の下落TOP3を並べると、流れの変化がはっきりする。

週下落TOP3に入った主な銘柄共通点
Week07KDX不動産投資法人 など金利
Week08楽天グループ、MS&AD など金利
Week09ジャックス、SBI新生銀行、オリックス金融
Week10辻・本郷IT、IonQ、フォームファクターAI・量子・半導体

先週は、資金が半導体に集中し、その分が金融から抜けた週だった。今週はその逆で、期待を集めていたAI関連の銘柄から資金が抜けた。

きっかけは、米国時間10月8日に英フィナンシャル・タイムズが報じた、OpenAIの売上に関するニュースだった。ChatGPTを開発するOpenAIが投資家に示した9月時点の年換算売上は約500億ドルで、それまで市場が想定していた約700億ドルを大きく下回っていた。

この報道でナスダック総合指数は1.25%下げ、8月中旬以来の大きな下落となった。半導体株は軒並み売られ、AIのサプライチェーン全体に売りが広がった。

ただし、この差は売上が消えたわけではなく、売上の数え方の違いから生じたものだと伝えられている。提携先に分配する前の総額で数えるか、分配した後の純額で数えるかの違いだ。実際、OpenAIの売上ペースは第3四半期に77%伸びている。

事業が悪くなったわけではない。それでも、AIへの巨額投資を正当化してきた「数字」が想定より小さく見えたことで、AIに大きな期待を織り込んでいた銘柄が一斉に売られた。今週の下落TOP3は、まさにそういう銘柄で占められている。

同じプローブカードの2社が、逆方向に動いた

今週いちばん記録しておきたいのは、ここだ。

銘柄今週の騰落率先週金曜の「成長織り込み倍率」
日本電子材料+8.20%1.45
フォームファクター-7.50%約3.6

先週の金曜、半導体検査の9社を比較し、予想PERを12.5で割った「成長織り込み倍率」で並べた。日本電子材料は9社の中で最も控えめに評価されていて、フォームファクターはその2倍以上の期待を織り込まれていた。

同じプローブカードを作り、同じHBMの需要を追い風にしている2社だ。先週は2社そろって上昇TOP3に入った。

今週、AIへの不安が出たとき、期待を多く織り込んでいた方が売られ、控えめに評価されていた方は上がった。 先週の比較で見えた評価の差が、相場が揺れた週にそのまま値動きの差として出たことになる。

上昇銘柄を見る

① スペースX(SPCX)+8.89%

Week08の土曜で、スペースXを「売上高に対して約90倍という評価がついている、ストーリーで値段が決まる株」と書いた。今週は、そのストーリーに数字が加わった週だった。

スペースXは2026年2月に、イーロン・マスク氏のAI企業xAIを買収している。今のスペースXは、ロケットと衛星通信の会社であると同時に、NVIDIAのGPUを大量に並べて計算能力を貸し出すAIインフラの会社でもある。

その顧客が大きい。Googleは2026年10月から2029年6月まで、約11万個のNVIDIA製GPUなどの利用料として月9.2億ドルを支払う契約を結んでいる。さらにロイターは、Anthropicが非公開で提出したIPOの目論見書をもとに、AnthropicがxAIの計算能力に2029年までで最大845億ドルを支払う可能性があると報じた。

加えて、マスク氏がNVIDIAとの共同設計による「大きな節目」を示唆し、モルガン・スタンレーのアナリストは目標株価300ドルを維持して「割安で、さらに割安になりつつある」と評価している。10月9日には政府からの複数回の打ち上げ契約が伝わり、株価は上昇した。

ただし、リスクも数字で見えている。Anthropicとの契約の多くは90日前の通知で解約でき、Googleとの契約には、約束した計算能力を期限までに用意できなければ契約を打ち切られる条項がある。UBSは、スペースXが第3四半期だけで193億ドルの設備投資を行い、132億ドルの現金を流出させると試算している。NVIDIA製の半導体を買うために、約400億ドルの資金調達も進めている。

ストーリーに数字がついた一方で、その数字を実現するための投資と借入も巨額になっている。 今週の上昇は前者を評価したものだが、後者のリスクが消えたわけではない。

② サンバイオ(4592)+8.29%

10月5日の取引終了後、サンバイオは細胞治療薬「アクーゴ脳内移植用注」の市販後1例目となる患者への投与を、10月2日に北海道大学病院で実施したと発表した。対象は、外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺だ。

アクーゴは2024年7月に条件及び期限付きの製造販売承認を取得し、2026年5月に販売を開始していた。承認から2年以上、販売開始から5カ月を経て、ようやく実際の医療現場で使われたことになる。発表翌日の6日は、前日比+5.30%の994円まで上がった。

その後いったん下げ、年初来安値に迫る水準まで戻っていたが、8日に北海道大学病院が記者会見を開き、手術後の麻痺の症状に改善傾向がみられると伝わった。9日の株価は前日比+7.13%と急反発している。

ここで一つ注意しておきたいのは、アクーゴの承認が「条件及び期限付き」だという点だ。市販後に有効性を改めて確認することが前提になっている。1例目の投与が実施されたことと、治療効果が確認されたことは別の段階であり、改善傾向という報道もまだ1例の話だ。それでも、承認から長く待たされてきた製品が実際に使われ始めたことは、この会社にとって大きな節目になる。

③ 日本電子材料(6855)+8.20%

今週、日本電子材料に個別の新しい材料は確認できていない。

上で書いた通り、同じプローブカードのフォームファクターが下げる中で、日本電子材料は上がった。メモリー向けプローブカードの需要拡大という事業の流れは、Week09の火曜で見た通り変わっていない。そして市場の評価は、同業の中で最も控えめだった。

AIへの不安が出た週に下げなかったのは、そもそも株価がAIへの期待をそれほど織り込んでいなかったからだと見ている。11月上旬の中間決算で、1Qのペースが2Qも続くかを確認する。

下落銘柄を見る

① 辻・本郷ITコンサルティング(476A)-14.18%

先週、CSアカウンティングの買収発表でストップ高をつけ、上昇1位(+51.66%)になった銘柄だ。今週はその反動が大きく出た。

10月7日、大株主のHongo holdingsが変更報告書を提出し、保有比率が38.07%から29.36%に下がったことが明らかになった。大株主が持ち株を減らしたことで、需給の悪化が意識された。

そして10月8日、この株は極端な値動きを見せた。前日終値2,980円から、午前中に一時ストップ高の3,480円まで買われた後、売りに押され、終値はストップ安の2,480円。同じ日に、ストップ高とストップ安の両方をつけた。 この日は東証スタンダード市場全体でも、値上がり266銘柄に対して値下がり1,097銘柄と、中小型株が大きく売られた日でもあった。

先週書いた通り、この株は市場で売買される株が少なく、上がるときも下がるときも値動きが荒くなる。先週の+51.66%と今週の-14.18%は、その性格がそのまま出た結果だ。

IPOで当選し、なんとなく将来性を感じて持ち続けてきた株だ。先週、「ここからはなんとなくではなく数字で見ていく」と書いた。買収の効果が数字に出てくるのは2027年9月期からで、今週の値動きはその判断材料にはならない。

② IonQ(IONQ)-10.21%

今週、IonQに個別の悪材料は確認できていない。10月5日には、みずほ証券が投資判断「アウトパフォーム」と目標株価52ドルを改めて示し、株価はむしろ上がっていた。下げたのは、OpenAIの報道をきっかけにAIや先端技術の銘柄全体から資金が抜けた流れの中でのことだ。

一つ、Week08の土曜に宿題にしていたことがある。IonQは2026年の売上見通しを4.5億〜4.6億ドルに引き上げたが、そのうち量子コンピュータ本体と、買収した半導体製造会社SkyWaterの売上がそれぞれいくらなのかが分からない、と書いた。

アナリストの整理によれば、約4.55億ドルのうち、およそ2.4億ドルがSkyWaterの8〜12月分とされる。量子コンピュータ本体の売上は約2.15億ドルという計算になる。みずほ証券が9月に目標株価を61ドルから52ドルに引き下げたのも、売上見通しの引き上げが主に買収によるもので、量子コンピュータ本体の新たな成長を示すものではないと受け止められたためだった。

自分はIonQを保有しているが、Week01で公開した取得単価45.67ドルからは、今週さらに遠のいた。2週続けて上昇TOP3に入ったのが3週間前で、今週は下落2位だ。ストーリーで動く株は、上がるときと同じだけの幅で下がる。 そのことを改めて確認した週になった。

③ フォームファクター(FORM)-7.50%

上で書いた通り、OpenAIの報道で半導体株全体が売られた流れの中で下げた。個別の悪材料ではない。

先週は上昇2位(+14.85%)だった。先週の上げと今週の下げは、どちらもフォームファクター自身の業績ではなく、AI半導体に対する市場全体の期待の上げ下げで動いている。期待を多く織り込んでいる銘柄ほど、その振れ幅は大きくなる。

10月下旬の3Q決算で、HBMからDDRへの構成変化がどれだけ利益率に響くかを確認する。

ポートフォリオ全体について

コア(インデックス)とサテライト(個別株)の比率は約64:36で運用している。

先週は、半導体に資金が集中した週に金融株が売られ、指数は上がったのに自分のポートフォリオは下がった。今週は逆に、AI関連が売られる中で、金融株は下落側から消え、宇宙やバイオ、控えめに評価されていた半導体株が上がった。

資金がどこからどこへ動くかで、上がる銘柄と下がる銘柄が週ごとに入れ替わる。 金融と半導体、期待の大きい株と控えめな株を両方持っているのは、どちらか一方に賭けないためだ。今週はそれがプラスに働いた。

今週のまとめと来週に向けて

Week10の金融は今日で終わり。5日間の結論を一行でまとめるなら、**「市場は銀行かどうかではなく、金利で儲かる仕組みを見ていた」**になる。

同じ銀行でも、預金の性格によって金利上昇の恩恵はまったく違った。オリックスは、金利が上がっても儲からない銀行を手放した。メガバンクは、金利上昇で確実に稼ぐ仕組みを持つとして最も高く評価されていた。

保有している金融株は、それぞれ持つ理由が違う。SBI新生銀行は銀行株として、中身が育っているのに値段がついてこない状態にある。ジャックスは配当狙いで、年200円が約束で守られている。オリックスは配当目当てで、前期の実績が下限になる配当が伸び続けている。いずれも、今週の時点で持ち続ける理由は崩れていない。

来週は海外金融を扱う。今週は保有している日本の金融株を点検する週になったが、日米を並べて比べるというこのブログの軸からは外れていた。来週はその続編として、金利のある世界を日本より数年早く経験した米国の金融株を見る。

2023年のシリコンバレー銀行の破綻は、今週見てきた「預金ベータ」と「保有債券の評価損」が同時に表面化した事件だった。JPモルガン・チェース、アメリカン・エキスプレス、バークシャー・ハサウェイを、三菱UFJ、ジャックス、オリックスと並べて、今週の結論が米国でも通用するかを確かめる。

なお、Week08の原子力回で予告した核融合は、その翌週以降に扱う。

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