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Week 09 — 半導体検査
2026.10.02  ·  金曜 / 9社比較

半導体検査9社比較——テスト工程は+30〜100%、欠陥検査は+15%とマイナス

月曜から木曜まで、日本電子材料、フォームファクター、アドバンテストの3社を見てきた。今日はそこにテラダイン、日本マイクロニクス、Technoprobe、東京精密、そして欠陥検査側のレーザーテックとKLAを加え、9社を横並びにする。

先に結論を3つ書いておく。

1つ目。月曜に立てた仮説は、数字ではっきり裏づけられた。 AIの恩恵はテスト工程に集中していて、欠陥検査にはまだ届いていない。

2つ目。プローブカードの4社は、同じ製品を作りながら「どのAIチップを検査しているか」でまったく分かれていた。

3つ目。水素、原子力と続いた3週間の中で、半導体検査は唯一、市場が実需にしっかり値段をつけているテーマだった。

そしてもう一つ、今週は自分の分析方法について訂正しておくことがある。それも後半で書く。

まず数字を並べる

日本株5社(2026年10月2日時点)。

銘柄コード工程株価時価総額予想PERPBRROE配当利回り
日本電子材料6855プローブカード8,290円1,215.6億円18.1倍2.71倍15.0%1.21%
日本マイクロニクス6871プローブカード15,020円6,011.8億円25.3倍8.81倍20.9%1.19%
東京精密7729プローバ19,205円8,120.8億円25.3倍4.10倍13.5%1.58%
アドバンテスト6857テスター38,630円28.3兆円42.4倍35.22倍57.6%0.15%
レーザーテック6920欠陥検査46,130円4.3兆円45.9倍16.75倍33.9%0.76%

※アドバンテストのPBRは、木曜の記事(約23.8倍、9月30日時点)と大きく異なる。株価上昇分だけでは説明できず、参照したデータソースで1株純資産の基準日が違うためと考えられる。今日の表は5社すべて同一ソースの数値で揃えている。

海外4社。

銘柄ティッカー工程株価時価総額実績PER直近ペースのPER配当利回り
フォームファクターFORMプローブカード約150ドル117.6億ドル103.5倍約45倍なし
テラダインTERテスター約430ドル682.4億ドル59.9倍約48倍0.12%
KLAKLAC欠陥検査約205ドル2,685.4億ドル56.2倍約44倍0.45%
TechnoprobeTPRO(ミラノ)プローブカード約33ユーロ約212億ユーロ—約61倍なし

※米国3社の株価は時価総額と当日の値動きからの概算。「直近ペースのPER」は、直近四半期の非GAAP1株利益と会社見通しを年率換算した試算。Technoprobeはアナリスト予想の2026年1株利益0.54ユーロで計算。

規模を円に揃えて並べると、こうなる(1ドル159円、1ユーロ約186円で換算)。

順位銘柄時価総額(円換算)
1KLA約42.7兆円
2アドバンテスト28.3兆円
3テラダイン約10.9兆円
4レーザーテック4.3兆円
5Technoprobe約3.9兆円
6フォームファクター約1.9兆円
7東京精密8,120.8億円
8日本マイクロニクス6,011.8億円
9日本電子材料1,215.6億円

最大のKLAと最小の日本電子材料では、約350倍の開きがある。

月曜の仮説は、数字で裏づけられた

月曜の記事で、半導体の検査には「テスト工程」と「欠陥検査」の2種類があると書いた。そして、AIとの関係はテスト工程の方が直接的で、欠陥検査は間接的だという見立てを置いた。

各社の直近の売上成長率を並べる。

銘柄工程直近の売上成長率(前年比)
テラダインテスト(テスター)+104%(2026年4〜6月期)
日本電子材料テスト(プローブカード)+77.3%(2026年4〜6月期)
日本マイクロニクステスト(プローブカード)+48.6%(2026年1〜6月期)
Technoprobeテスト(プローブカード)+42.4%(2026年1〜6月期)
アドバンテストテスト(テスター)+39.3%(2026年4〜6月期)
フォームファクターテスト(プローブカード)+31.9%(2026年4〜6月期)
東京精密テスト(プローバ)+加工+18.9%(2026年4〜6月期)
KLA欠陥検査+15%(2026年4〜6月期)
レーザーテック欠陥検査-8.3%(2026年6月期通期)

テスト工程は軒並み+30〜100%、欠陥検査は+15%とマイナス。

テラダインは半導体テスト事業だけなら前年比+128%で、売上の約70%がAI関連だと説明している。一方でレーザーテックは2026年6月期に10期ぶりの減収減益となり、決算翌日の株価は13.55%下げた。

同じ「検査」でも、AIの恩恵がどこに落ちているかは明確に分かれている。AIチップは複雑になり、HBMは積む前に1枚ずつ確かめる必要がある。この負担は「できたものが動くか」を確かめるテスト工程にかかり、「作り方が正しいか」を見る欠陥検査には、微細化の進展を通じて間接的にしか届かない。

なお東京精密の伸びが他のテスト関連より緩やかなのは、プローバに加えて加工装置や計測機器も手掛けているためだ。それでも2027年3月期の経常利益予想を400億円から440億円へ引き上げている。

プローブカード4社は「何を検査しているか」で分かれる

今週いちばん面白かったのがここだ。

プローブカードの4社は、同じ製品を作っている。それなのに、検査しているチップの種類がまったく違った。

会社主な検査対象直近の動き
日本マイクロニクスHBM中間期の営業利益が前年比2倍超。配当を95円から178円へ
日本電子材料メモリー全般1Qで上期計画の約9割を稼ぐ。非メモリーは軟調
フォームファクターHBM+ロジック+光電融合DRAM向けの約3分の2がHBM。世界最大のファウンドリが大口顧客
TechnoprobeGPU・ロジックAI関連が売上の過半。HBM向けは上期で約1,000万ユーロのみ

Technoprobeは2026年に売上10.5億〜11億ユーロを見込み、売上規模でフォームファクターを上回る見通しだ。上期のEBITDA利益率は44.4%、2Q単独では49%に達した。ところが、HBM向けの売上は上期でわずか約1,000万ユーロしかない。Technoprobeの成長はほぼGPUとロジック向けで、HBMの波にはまだ乗っていない。

逆に日本の2社は、成長のほとんどをメモリー、特にHBMから得ている。フォームファクターはその両方にまたがっている。

この違いは、短期のリスクの違いにもつながる。

同じ「プローブカード」という一語でくくると、この違いが見えなくなる。投資家として見るべきは、製品名ではなく、その製品がどのチップにぶら下がっているかだ。

レーザーテックは「2023年のアドバンテスト」に似ている

欠陥検査側のレーザーテックについて、一つだけ触れておきたい。

2026年6月期は売上高2,304.85億円(-8.3%)、営業利益1,052.59億円(-14.3%)と減収減益だった。ところが同じ期の受注高は2,375億円で、前期の1,052億円から2.2倍に急増している。会社は2027年6月期の受注を3,000億〜4,000億円と見込み、売上高2,900億円(+25.8%)、営業利益1,250億円(+18.8%)と過去最高益を予想している。

減益の裏で、次の需要が立ち上がっている。これは木曜に書いた2023年のアドバンテストとよく似た構図だ。あのとき自分は、減益という事実だけを見て、その裏で立ち上がり始めていたAI向けの需要を見なかった。

木曜の教訓をここに当てはめるなら、レーザーテックの減益は「谷」である可能性が高い。受注が2倍以上に回復しているからだ。

ただし、2023年のアドバンテストとは違う点もある。レーザーテックの予想PERはすでに45.9倍で、市場は受注の回復をかなり織り込んでいる。谷で売られて放置されているわけではない。

今週から、見方を一つ修正する

ここで、自分の分析方法について訂正しておく。

Week07の水素回から、各社の割安度を測るために「理論PBR」という考え方を使ってきた。ROEを株主資本コスト(8%)で割って理論上の適正PBRを出し、実際のPBRと比べる方法だ。

ただし、その際のROEは「PBR÷PER」で逆算していた。この場合、式を整理するとこうなる。

実際のPBR ÷ 理論PBR = PBR ÷ (PBR ÷ PER ÷ 0.08) = 予想PER × 0.08

つまり「実際÷理論」の数字は、予想PERを12.5で割っただけだった。PBRとROEは計算の途中で打ち消し合っていて、実質的にはPERしか見ていなかったことになる。

計算そのものは正しい。Week07の岩谷産業の0.86はPER10.7倍×0.08、三菱重工の2.75はPER34.3倍×0.08だ。ただ、PBRやROEという別の角度から確かめたように見せていたのは、正確ではなかった。

それでも、この数字には意味がある。12.5倍という水準は「成長しない会社の適正PER」(1÷資本コスト8%)にあたる。だから予想PER÷12.5は、市場がその会社に「無成長の何倍の成長」を織り込んでいるかを示している。Week07とWeek08の「実際に稼いでいる会社ほど安い」という結論も、PERの比較としてそのまま成り立つ。

今週からは、この数字を正直に「成長織り込み倍率」と呼ぶ。

成長織り込み倍率で並べる

予想PER(直近ペース)を12.5で割った数字を、9社分並べる。

銘柄予想PER成長織り込み倍率
日本電子材料18.1倍1.45
日本マイクロニクス25.3倍2.02
東京精密25.3倍2.02
アドバンテスト42.4倍3.39
KLA約44倍約3.5
フォームファクター約45倍約3.6
レーザーテック45.9倍3.67
テラダイン約48倍約3.8
Technoprobe約61倍約4.9

9社すべてが1倍を超えている。 市場はどの会社にも、無成長の会社の1.5〜5倍の値段をつけている。

そして日本の中小型3社(日本電子材料、日本マイクロニクス、東京精密)は1.5〜2倍に収まり、海外勢と日本の大型2社は3.4〜4.9倍に集中している。水曜に「売上は4倍、時価総額は15倍」と書いた日本電子材料とフォームファクターの差が、業界全体でも同じように出ている。

日本株5社については、循環しない比較もできる。データソースが公表している実績ROEで理論PBRを出し、実際のPBRと比べる方法だ。

銘柄実績ROE理論PBR実際のPBR実際÷理論
日本電子材料15.0%1.88倍2.71倍1.45
東京精密13.5%1.69倍4.10倍2.43
日本マイクロニクス20.9%2.61倍8.81倍3.37
レーザーテック33.9%4.24倍16.75倍3.95
アドバンテスト57.6%7.20倍35.22倍4.89

こちらは過去の稼ぐ力に対する評価で、急成長中の会社ほど割高に見えやすい。それでも順番はほぼ同じで、日本電子材料が最も控えめに、アドバンテストが最も強気に評価されている。

3週間を並べる

月曜の記事で、最後の欄を「?」にしておいた表がある。今週の結果で埋められる。

水素(Week07)原子力(Week08)半導体検査(Week09)
目標・予測と実績の関係政策目標に実需がまったく追いつかない目標と実績の差は約2.4倍実績が市場予測を追い越している
市場の評価水素にほぼ値段がついていない稼いでいる電力会社もPER10倍前後全社がPER18〜61倍。実需にしっかり値段がついている

水素は、政策が先行して実需も株価もついてこなかった。原子力は、実需はあるのに株価は控えめだった。半導体検査は、実需が予測を追い越し、株価もそれを追いかけている。

3つのテーマの中で、市場の評価と実需の向きが最も揃っているのが半導体検査だった。裏を返せば、割安な入り口を探すのが最も難しいテーマでもある。

自分のポジションから見て

今週の9社のうち、日本電子材料とフォームファクターを保有している。アドバンテストは2023年に売却した。

日本電子材料は、9社の中で最も控えめに評価されている。 成長織り込み倍率は1.45で、実績ROEで見ても同じ1.45。火曜に書いた通り、会社の計画が保守的で、1Qで上期計画の約9割を稼いでいる。市場がこのペースを信じれば、評価が見直される余地は9社で最も大きい。11月上旬の中間決算が、その答えになる。

フォームファクターは、HBMとロジックの両方にまたがる唯一の会社だ。 成長織り込み倍率は約3.6で、海外勢の中では中位にいる。10月下旬の3Q決算で、HBMからDDRへの構成変化がどれだけ利益率を削るかを確認する。

アドバンテストは、木曜の記事を書いた翌日から2営業日で+12.8%上がり、売却価格の8.7倍になった。 年初来高値38,730円にほぼ並んでいる。木曜に書いた通り、今は買わない。次に業績が落ちたとき、その理由が景気循環なのかAI需要の減速なのかを見分ける。

ウォッチリストに加えるなら、日本マイクロニクスだ。HBM向けプローブカードの本命で、中間期の営業利益は前年の2倍を超え、配当はほぼ倍増した。成長織り込み倍率は2.02で、同じHBM向けのフォームファクターより控えめに評価されている。保有している日本電子材料と業態が重なるので、両方を持つ意味があるかは慎重に考えたい。

明日は今週の自分株まとめとして、ポートフォリオの損益と週間騰落を確認する。

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