電力・エネルギーインフラ——AI半導体の「脳」を動かす、地味だが逃げられない大黒柱
先週はAI半導体という「脳」を見てきた。どれだけ優れたチップを作っても、それを動かす電力がなければ何も始まらない。今週は先週何度も話題に出た「電力供給の制約」そのものを主役に据える。
世界のデータセンター電力消費、前年比+26%
Gartnerの予測では、2026年の世界のデータセンター電力消費は前年比26%増の565テラワット時(TWh)に達する見通しだ。AI最適化サーバーの導入がこの増加を牽引しており、2026年にはデータセンター全体の電力消費の31%をAI最適化サーバーが占め、2027年には従来型サーバーを上回るとされている。
日本国内も急増局面に入っている
国内のデータセンター新増設に伴う電力需要は、電力広域的運営推進機関の想定によれば2025年度の47万kWから2034年度には616万kWへと急増する見通しだ。伸びが特に大きいのは北海道・東京・中国エリアで、系統(送電網)への接続が拡大のボトルネックになりつつある。
Gartnerの日本担当アナリストも「国内では発電能力の不足ではなく、送電設備の整備が追いついていないことが主な要因」と指摘しており、**「電力が足りない」のではなく「電気を運ぶ設備が追いついていない」**という構図が今の日本の実情に近い。
政府も本腰——補助金・地域分散策
総務省は2025年6月に「デジタルインフラ整備計画2030」を策定し、東京圏・大阪圏以外のデータセンター・海底ケーブルの整備に補助率1/2〜4/5という手厚い支援を打ち出した。経産省も2025年8月に「GX戦略地域制度」を創設し、2026年度から5年間で総額2,100億円を投じる。脱炭素電力100%使用を条件に、北海道・秋田・宮城・栃木・茨城・富山・香川・福岡・鹿児島の9地域がデータセンター集積型の有望地域として選定されている。
政策の後押しがあるという点は、このテーマが一過性のブームで終わらない根拠のひとつだと考えている。
サプライチェーンで見る
| 段階 | 役割 | 想定される銘柄タイプ |
|---|---|---|
| 発電 | 電力そのものを作る | 電力会社・再エネ発電事業者 |
| 送配電網 | 電気を運ぶ・系統を強化する | 送配電関連・重電メーカー |
| 需給調整・小売 | 電力を売る・調達する | 新電力・独立系電力会社 |
| 蓄電・バックアップ | 電力を貯める・安定させる | 蓄電池関連 |
| 冷却・データセンター設備 | データセンター内部のインフラ | 電気設備工事・空調関連 |
このテーマの評価指標
先週のAI半導体は高PSR銘柄が目立ったが、電力インフラは伝統的な業種が多く、PER・PBR・配当利回りで素直に評価できる銘柄が中心になる。ただし「AI×データセンター×再エネ」というテーマ性で買われ、PER40倍を超える銘柄も出てきているため、一概に「地味だから割安」とは言えない点には注意したい。
今週は火曜にJパワー、水曜にイーレックス、木曜に関電工を深掘りし、金曜に他の関連銘柄を加えた比較を行う予定。
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