住友電気工業——過去最高益なのに「データセンター銘柄」と見なされていない不思議
火曜・水曜と米国の光通信2社(Lumentum・AAOI)を見てきた。どちらも決算は良いのに株価は冷静という展開だった。今日取り上げる住友電気工業は、また違う意味で市場の評価が追いついていない銘柄だ。
基本データ(2026年8月13日時点)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価(直近) | 約2,113円 |
| 時価総額 | 約6.7兆円 |
| 2026年3月期実績 | 売上5.1兆円(前期比+9.2%)・営業利益4,181億円(+30.4%) |
| 純利益 | 3,695億円(前期比+90.7%) |
| PER(会社予想) | 約22.9倍 |
| PBR(実績) | 約2.67倍 |
| ROE(実績) | 14.68% |
| 配当利回り(会社予想) | 約1.66% |
| 自己資本比率 | 56.9% |
※2026年5月に4分割を実施済み。上記は分割後ベース。
何をやっている会社か
光ファイバー・ケーブル国内最大手。自動車用ワイヤーハーネスでも世界トップクラスのシェアを持つ、非鉄金属メーカーの最大手だ。事業は自動車・情報通信(光・通信ケーブル)・エレクトロニクス・環境エネルギー・産業素材の5本柱で構成されており、光通信は数ある事業の一つに過ぎない。
過去最高益という事実
2026年3月期はデータセンター向け製品と自動車関連需要の増加により、売上5.1兆円・営業利益4,181億円・純利益3,695億円という過去最高を更新した。純利益の伸び率+90.7%は、火曜・水曜に見たLumentum・AAOIのような急成長企業と比べても遜色ない水準だ。過去12四半期の業績は改善傾向が続いており、ROE・ROAともに一般的に望ましいとされる水準を上回っている。
「データセンター銘柄」として見られていない現実
面白いのは市場の反応だ。個人投資家の掲示板を見ると「フジクラ・古河電工・SWCCについていけていない」「ここはデータセンター銘柄と市場が認識していない」という声が出ている。同業の古河電工が光ファイバー増産に1,000億円を投じるというニュースが出る一方、住友電工の株価はそれほど強く反応していない。
理由として考えられるのは、住友電工の売上構成において自動車事業の比重が大きく、「純粋な光通信・データセンター銘柄」として見なされにくいことだ。フジクラのような相対的に通信インフラ比率が高い銘柄の方が、AI・データセンターのテーマ性を素直に織り込みやすい構造になっている。
IOWN・海底ケーブルという地道な布石
NTTが推進する次世代光通信基盤IOWN向けの光ファイバー供給を担う主要サプライヤーであり、直近ではスコットランドの送電大手と海底ケーブル事業で提携するというニュースも出ている。派手さはないが、着実にインフラの根幹を押さえている企業だ。
PERで見る現在地
火曜・水曜に見た米国2社はPSRで評価する必要があったが、住友電工は黒字企業なのでPERで素直に評価できる。会社予想PER約22.9倍・PBR約2.67倍という水準は、過去最高益企業としては決して割高ではない。ROE14.68%という水準を考えれば、むしろ評価されてよい数字だと思う。
保有していない立場から見て
米国の光通信株がPSR15〜20倍という「期待値込み」の株価で取引されているのに対し、住友電工はPER23倍という「実績ベース」で評価されている。データセンター向け需要という同じ追い風を受けながら、この評価のギャップは面白い。
自動車事業への依存という側面はリスクでもあるが、光通信・エネルギー・自動車と事業が分散している分、単一テーマの失速に振り回されにくいという安定感もある。押し目があれば長期保有候補として検討したい水準だ。
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