量子コンピュータ3社比較——決算週が終わった。PSRと数字で改めて並べる
今週は偶然にも3社すべてが決算週と重なった。月曜に解説を書いた時点では予想していなかったが、結果として「決算前→決算後」という流れで各社を追う記録になった。数字が出揃った今、改めて3社を並べる。
決算結果まとめ
| 銘柄 | Q2〜Q3売上 | 前年比 | 予想比 | 時間外反応 |
|---|---|---|---|---|
| IonQ(IONQ) | Q2:$8,010万ドル | +287% | +22%上振れ | +8.4%急騰 |
| Rigetti(RGTI) | Q2:$514万ドル | +186% | ほぼ予想通り | -4.4%下落 |
| フィックスターズ(3687) | Q3累計:79.2億円 | +11.9% | 通期予想据え置き | PTS+0.71% |
3社ともそれぞれ異なる性格の決算だった。
フィックスターズQ3決算を読む(決算短信より)
Q3累計(2025年10月〜2026年6月)の数字:
| 項目 | 今期Q3累計 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 79.17億円 | +11.9% |
| 営業利益 | 22.22億円 | +6.5% |
| 経常利益 | 22.20億円 | +6.4% |
| 四半期純利益 | 13.16億円 | ▲19.2% |
| 自己資本比率 | 83.6% | — |
純利益が▲19.2%という数字が目を引くが、内訳を見ると本社移転費用2.29億円という一時費用が特別損失として計上されている。これを除けば実態の収益力は前年並みを維持していると読める。
セグメント別では:
- Solution事業:売上74.09億円(+9.7%)・利益26.99億円(+12.0%)と安定成長
- SaaS事業:売上5.08億円(+59.1%増)と高成長だが、営業損失4.74億円と投資フェーズが続く
通期予想(売上高108億円・営業利益31億円)は据え置き。Q3累計進捗率は売上73.3%・営業利益71.7%で、通期達成には下期に約28.8億円の売上が必要な計算だ。前年同期の下期実績が約35億円だったことを考えると、現実的な水準だ。
3社の現在地——PSRで見る
| 銘柄 | 株価(8/7時点) | 時価総額 | 通期売上予想 | 前向きPSR |
|---|---|---|---|---|
| IonQ(IONQ) | 約$43(時間外) | 約$161億 | $2.85億(上方修正後) | 約57倍 |
| Rigetti(RGTI) | 約$15.6(時間外) | 約$50億 | 年換算約$2,000万 | 約250倍 |
| フィックスターズ(3687) | 約¥2,280(PTS) | 約766億円 | 108億円(据え置き) | 約2.1倍 |
RigettiのPSRを「年換算売上」で計算すると約250倍。IonQの57倍と比べても、売上規模の差($8,010万 vs $514万)がそのままPSRの差になっている。
IonQ——圧倒的な一人勝ち
Q2売上$8,010万は自社予想を20%上回り、5期連続過去最高を達成。SkyWater買収完了で製造まで垂直統合し、通期ガイダンスを$2.8〜2.9億に引き上げた。
量子業界の中での「格」が一段上がった決算だった。保有17株は含み損から含み益に転換。追加は$35〜40台を待つ方針は変わらない。
Rigetti——予想通りだが、それで足りなかった
EPS・売上ともに予想通りで上振れなし。時間外で約4.4%下落。IonQが「予想を20%上回る」決算を出した直後だけに、「予想通り」という結果は見劣りする。CHIPS法から最大$1億の資金提供の可能性という材料はあるが、売上規模が$500万台という現実は変わらない。$10以下の見送り方針を維持する。
フィックスターズ——一時費用を除けば実態は堅調
純利益の▲19.2%は本社移転費用という一時要因が主因。それを差し引けば、Solution事業(+12%増益)は順調に成長している。SaaS事業は59%増収と高成長だが、投資フェーズで損失が拡大している点は注視が必要だ。
通期予想を据え置いたことは「下方修正なし」として素直にポジティブと受け取っている。PTS+0.71%という小幅高は市場が概ね「想定内」と判断した反応だろう。
3社をどう使い分けるか
| IonQ | Rigetti | フィックスターズ | |
|---|---|---|---|
| 性格 | 夢株(本命) | 夢株(ハイリスク) | 長期・黒字株 |
| 今の判断 | 保有継続・$35〜40で追加 | $10以下で少量検討 | 押し目で拾いたい |
| 一番のリスク | 高PSR・期待値依存 | 売上規模が極小 | 純利益の一時的な落ち込み |
| 20年後の期待 | 量子覇者なら大化け | 技術は本物・生存が課題 | AI・量子普及の恩恵確実 |
量子テーマへの投資は「全額IonQに賭ける」ではなく、「IonQで夢を持ちながら、フィックスターズで現実を押さえる」という組み合わせが自分のスタンスに合っている。インデックスを主軸に持っているからこそ、この分散が成立する。
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