今週の自分株まとめ——週間+1,223,821円、水素はまだ誰も見ていない
土曜恒例、今週の自分株まとめ。
今週の週間損益は +1,223,821円。 久しぶりの上昇となった。全体的にプラスの銘柄が多く、騰落率の数字にもそれが出ている。
ただ、内訳を見ると少し面白い週でもあった。
今週の騰落TOP3
上昇
| 順位 | 銘柄 | 騰落率 |
|---|---|---|
| 1 | IonQ(IONQ) | +11.74% |
| 2 | 日本電子材料(6855) | +10.79% |
| 3 | JACリクルートメント(2124) | +9.73% |
下落
| 順位 | 銘柄 | 騰落率 |
|---|---|---|
| 1 | ユカリア(286A) | -3.39% |
| 2 | KDX不動産投資法人(8972) | -2.25% |
| 3 | トーホー(8142) | -1.63% |
上昇側は3銘柄とも2桁近い伸び、下落側は最大でも-3.39%。プラス優勢の週だったことが数字に表れている。
水素は、まだ誰も見ていない
月曜から金曜まで、5日間かけて水素・新エネルギーを分析した。岩谷産業、Jパワー、三菱化工機を個別に掘り下げ、金曜には国内外8社を横並びにしている。
その水素関連銘柄は、上昇TOP3に1つも入っていない。
これは残念な結果ではなく、今週の分析と完全に一致した結果だ。金曜の記事で「市場は水素にまったく値段をつけていない」と書いたが、それが自分のポートフォリオの中でそのまま起きていたことになる。
水素は現時点で、注目されていない分野だ。 政策では3兆円の価格差支援が動き、岩谷産業は年間356億円を投じ、三菱化工機には装置の受注が入っている。それでも株価はその事実を織り込んでいない。
このブログでテーマ株を扱うのは、今週上がる銘柄を探すためではない。誰も見ていないうちに構造を理解しておくためだ。水素が来るかどうかは分からないが、来たときにどこを通るのかは今週の5本でかなり整理できた。そういう意味では、上がらなかったこと自体が今週の収穫になる。
代わりに上がったのは、Week01で扱った量子コンピュータのIonQと、Week03のAI半導体関連である日本電子材料だった。1カ月前に調べたテーマが、今週になって動いている。 テーマ株はこういう時間差で効いてくる。
上昇銘柄を見る
① IonQ(IONQ) +11.74%
現地時間9月17日、シノプシスとの共同リサーチで、量子エンハンスド・ワークフローを用いた産業用シミュレーションが14.6%高速化できたという結果が開示された。直近のインベスター・デーで通期売上見通しを引き上げていた背景もあり、実用化の進展を織り込む買いがオプション取引の急増を伴って週後半に集中している。
Week01で書いた通り、IonQは赤字先行企業でPSRでしか測れない銘柄だ。今週の+11.74%は業績が良くなったから上がったのではなく、実用化が近づいたというストーリーが更新されたから上がった。
自分のポートフォリオには、指標で実績を確認できる銘柄と、ストーリーという雰囲気で買われている銘柄の両方が入っている。岩谷産業やJパワーは前者で、PBRやROEで説明がつく。IonQは後者で、数字では説明できない代わりにこういう週に大きく動く。
どちらが正しいという話ではなく、性質の違うものを両方持っているということだ。今週は後者が稼いだ。逆の週も当然ある。
② 日本電子材料(6855) +10.79%
生成AI向けメモリ(HBM)の増産に伴う業績の裏付けがある銘柄。地合いの回復局面で「業績が最も信頼できる半導体株」として資金が集中し、高値を切り上げた。
半導体関連は今週、テーマの中でも上昇と下落が入り混じった週だった。その中でこの銘柄が買われたのは、実績に基づいた評価が続いているということだと見ている。AI向けの需要が実際に売上へ反映されている銘柄と、期待だけで語られている銘柄が、はっきり選別されている印象だ。
③ JACリクルートメント(2124) +9.73%
8月に上限300万株・35億円の自己株式取得を発表しており、2026年度の総還元性向が100%を超える見込みになっている。コンサル・IT領域が牽引して中間期で過去最高益を更新しており、市場での自社株買いによる需給好転を狙った先回り買いが優勢だった。
総還元性向100%超は、稼いだ利益を全額株主に返す水準だ。今週見てきた水素3社の配当性向が岩谷約24%、Jパワー約23%、三菱化工機約40%だったことと並べると、スタンスの違いがよく分かる。成長投資にお金を使う会社と、株主に返す会社。今週の市場は後者を買った。
下落銘柄を見る
① ユカリア(286A) -3.39%
8月中旬の中間決算で、売上高は30%増と過去最高を更新したものの、先行投資と一時的収益の剥落により営業利益が前年同期比65.2%減と大きく落ち込んだ。**通期計画に対する進捗率が13.6%**にとどまっており、業績の先行き警戒が根強く残っている。
進捗率13.6%は、単純計算で残り3四半期に通期予想の86%を積む必要がある水準だ。下期偏重のビジネスなら説明はつくが、市場はまだそれを信じていない。戻り売りが続いているのはそのためだろう。
② KDX不動産投資法人(8972) -2.25%
今週は日米で政策金利に関するイベントが相次ぎ、中長期的な金利上昇リスクが改めて意識された。REITは分配金利回りの魅力で買われるため、金利上昇局面では相対的な魅力が低下する。手仕舞い売りに押された形だ。
金利上昇はREITには逆風だが、公益系のJパワーにも同じ方向で効いてくる。今週のJパワーが騰落TOP3のどちらにも顔を出さなかったのは、水素が評価されていないことだけが理由ではないかもしれない。
③ トーホー(8142) -1.63%
9月11日の大引け後に発表した中間決算で、経常利益は前年同期比8.1%増と堅調に着地した。ただし通期計画に対する進捗率は45.4%と過去の平均並みで、想定内のペースだったため、決算を期待して買われていた短期資金の利益確定売りに押されている。
好決算でも下げる典型例だ。株価は決算の良し悪しではなく、事前の期待との差で動く。 進捗率45.4%は悪くない数字なのに売られたのは、期待がそれ以上だったということになる。
ポートフォリオ全体について
今週は個別株の上昇が目立った一方で、インデックスとしては振るわなかった。
コア(インデックス)とサテライト(個別株)の比率は約64:36で運用している。今週はこの比率のうち36%の部分が稼いだ週で、64%のコアはほとんど貢献していない。iDeCoと企業型DCでもオルカン中心の運用を続けているが、こちらも同様だ。
こういう週があると「個別株の方が効率がいいのでは」と思いたくなるが、逆の週も同じだけある。今週+1,223,821円という数字が出たのは、上がった3銘柄をたまたま持っていたからだ。IonQの+11.74%は、シノプシスとの共同リサーチ結果を事前に知っていたから買えたわけではない。
自分が「雰囲気投資家」を名乗っているのは、この部分を正直に認めているからだ。インデックスが正解だと頭では分かっていて、それでも個別株を調べるのが楽しい。 その楽しさの保険として、コア64%という比率で安全装置をかけてある。今週のような週も、逆の週も、この構造なら楽しめる。
来週に向けて
Week07の水素・新エネルギーは今日で終わり。5日間の結論を一行でまとめるなら、**「市場は水素にまったく値段をつけていない」**になる。
繰り返しになるが、これは悲観ではない。値段がついていないからこそ、岩谷産業は本業の価値だけで買える水準にあり、三菱化工機はROE15%台で理論PBRを下回っている。水素が面白くなるのはこれからで、今はその構造を理解しておく時期だと思っている。
保有している岩谷産業とJパワーは継続保有。どちらも水素を評価せずに買っているので、今週の値動きで判断を変える理由はない。未保有の三菱化工機は、3,000円を切って配当利回りが4%を超えたら検討するという方針のまま据え置く。
来週は原子力・SMRを扱う。水曜のJパワー記事で「巨大な未確定要素」として保留にした大間原発を、今度は正面から見ていくことになる。
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