トヨタ——営業利益は減益なのに純利益+75.6%。「電動車55.3%」の中身を読む
今週の主役は保有銘柄でもあるトヨタ。8月4日発表の第1四半期決算は、一見矛盾した数字が並ぶ内容だった。営業利益は減益なのに、純利益は大幅増益。何が起きているのか、電動化という切り口から読み解く。
基本データ(2026年9月8日時点)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価(直近) | 3,081〜3,169円 |
| 時価総額 | 約44兆円 |
| PER(予想) | 約11〜12倍 |
| PBR | 約0.9〜0.99倍 |
| 配当利回り | 約3.25〜3.72% |
| 2027年3月期Q1 営業収益 | 13兆5,254億円(前年同期比+10.4%) |
| 2027年3月期Q1 営業利益 | 1兆634億円(同-8.8%) |
| 2027年3月期Q1 純利益 | 1兆4,770億円(同+75.6%) |
減益なのに純利益+75.6%という謎
営業利益率は前年同期の9.5%から7.9%へ低下した。中東情勢の影響でグローバル販売台数が前年同期比3.5%減の255万台となったことが響いている。それでも純利益が+75.6%と大幅に伸びたのは、税引前利益が前年同期比+56.8%の1兆9,638億円まで拡大したためだ。営業外損益の改善が主因とみられ、本業の稼ぐ力そのものは前年並みをかろうじて確保した水準にとどまる。
電動車比率55.3%という手応え
今週のテーマである電動化という観点で最も注目すべき数字がここだ。電動車全体の販売台数は前年同期比+12.4%の141万台となり、トヨタ・レクサス販売台数全体に占める比率は前年の47.4%から55.3%へ上昇した。内訳を見ると、HEVが123万8,000台(+6.7%)、PHEVが5万8,000台(+24.5%)、BEVが11万4,000台(約2.4倍)。BEVの伸び率が突出しているが、絶対数としては依然HEVが主力という構図に変わりはない。
HEV年500万台という現実的な戦略
通期計画ではHEVが2026年に初めて年間500万台の大台を突破する見通しだ。トヨタは「全方位戦略」を掲げ、EVに全振りするのではなくHEV・PHEV・BEV・FCEVを併存させる路線を継続している。月曜のテーマ解説で触れた「日本のEV普及率1.4%」という現実を踏まえると、この全方位戦略はホンダ・日産の苦戦とは対照的に、今のところ結果を出せているように見える。
通期見通しは上方修正
厳しい第1四半期の中東情勢の影響を受けながらも、通期の最終利益見通しは前年同期比75.6%増という実績を受けて8%上方修正された。中東物流を数ヶ月で組み替えるなど、供給網の立て直しを進めてきたことも寄与しているとみられる。
保有している立場から
トヨタは保有株の一つで、電動化テーマの中では最もコアに近い位置づけで持っている。営業利益の伸び悩みは正直気になる点だが、電動車比率55.3%という数字は「全方位戦略」がまだ機能している証拠として好感している。PER11〜12倍・PBR1倍割れという水準は、時価総額44兆円という規模を考えても割高感はなく、保有継続の方針に変わりはない。次のポイントは、月曜に触れた全固体電池(2027〜2028年実用化目標)やギガキャスト技術がどこまで具体化してくるかだと考えている。
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