EV・電動化——蓄電池の「使い道」としての自動車を見る
先週は蓄電池そのものを主役に据えたが、今週はその蓄電池を大量に積んで走る乗り物、EV(電気自動車)に焦点を当てる。CATL・ニチコンという先週の登場企業とも地続きのテーマだ。
世界のEV市場、成長は続くが鈍化局面
2026年も世界のEV市場は拡大基調を維持する見通しだが、成長率は鈍化する可能性が高いと見られている。最大市場の中国では購入補助金が2026年も継続される一方、価格優位性の低下や都市部での普及率上昇により、新規需要の伸びが鈍りつつある。欧州では2035年の内燃機関車原則廃止方針を維持しつつも、合成燃料などへの規制柔軟化が検討されている。米国ではトランプ政権下で燃費規制の緩和が進み、EV購入税額控除の適用条件も厳格化される方向にある。
日本のEV普及率はまだ1.4%
世界的な拡大トレンドとは対照的に、日本のEV普及率はまだ1.4%程度にとどまる。政府は2035年までに新車販売の電動車比率100%という目標を掲げているが、この「電動車」にはEVだけでなくHV(ハイブリッド)・PHEV(プラグインハイブリッド)も含まれており、「EV一択」ではない現実的な移行路線が敷かれている。
メーカー戦略も二極化が進んでいる。トヨタは全方位戦略を維持しながら2027年までに約15車種のEV投入を計画する一方、ホンダはEV偏重路線を見直しHVを軸とした展開へ舵を切った。日産はEV偏重戦略でガソリン車・HVへの対応が遅れ、業績不振に陥っている。同じ「電動化」という括りでも、各社の賭け方がまったく違う点は今週深掘りする上でも意識しておきたい。
全固体電池という次の技術ジャンプ
現行のリチウムイオン電池の限界を超える技術として、全固体電池の実用化競争が進んでいる。トヨタは2027〜2028年の実用化を目標に掲げ、日産も2028年度までの実用化を目指す。レクサスは2026年に次世代EV「LF-ZC」の市場導入を目指しており、新開発のEV専用プラットフォームと「角形高性能バッテリー」により、現行比約2倍となる航続距離1,000kmを可能にする計画だ。
ギガキャストという生産技術の転換
LF-ZCの製造には「ギガキャスト」という一体成形技術が導入される予定だ。従来は多数の部品を溶接して組み立てていた車体を、大型の鋳造機で一体成形することでコスト削減と生産スピード向上を狙う。この技術は自動車メーカーだけでなく、周辺の部品・素材メーカーにも影響を及ぼす構造転換であり、サプライチェーン全体で注目しておきたい動きだ。
このテーマの評価指標
トヨタのような大型完成車メーカーはPER・PBRで素直に評価し、電池サプライヤー(先週のCATL・ニチコンの延長)は成長率も併せて見る。EV専業のスタートアップ的な企業がある場合はPSRも使う、という先週までと同様の使い分けをしていく。
今週は火曜にトヨタ、水曜以降にパナソニックHD・海外EVメーカーなどを深掘りする予定。
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