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Week 03 AI半導体・データセンター向け
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Week 03AI半導体・データセンター向け
2026.08.21  ·  金曜 / 8社比較

AI半導体8社比較——好業績なのに売られる週。そして「10倍株を逃した話」

火曜のBroadcom、水曜の東京エレクトロン、木曜のアドバンテスト。3日連続で「好業績なのに株価が売られる」パターンを見た週だった。今日は残り5社を加えた8社を、できる限り数字で比較する。

8社比較表(PER・PSR)

銘柄株価/時価総額PER(予想)PER(実績)直近業績
Broadcom(AVGO)米国時価総額$1.87兆約18.7倍約58.5倍AI XPV資金調達リスクで$400割れ
東京エレクトロン(8035)日本54,290円・時価総額約20.8兆円非開示(決算未反映)PBR約16倍売上+33.3%・最終利益+39.5%
アドバンテスト(6857)日本25,200円・時価総額約18.4兆円約39.3倍PBR約23.0倍売上+39.3%・四半期利益+93.8%
Astera Labs(ALAB)米国時価総額$54.8〜56.1億前向きPSR約19.1倍売上+104%・EPS予想比+15.9%上振れ
Credo Technology(CRDO)米国前向きPSR約16.3倍FY26通期売上$13億超(3倍増)
クラフティア(1959)日本約14.38〜14.46倍PBR約1.68倍データセンター・半導体工場向け電気設備特需
キオクシアHD(285A)日本約49.3〜53.0倍(調整後目安)PBR約12.38倍NAND世界シェア3位。7月に16%超急落した経緯あり
住友電工(5802・参考)日本約2,113円・時価総額約6.7兆円約22.9倍過去最高益(先週深掘り)

※クラフティア・キオクシアHDのPERは直近の会社予想・調整後目安ベースであり、今期の急成長(データセンター特需・AI需要拡大)が十分に織り込まれた数値ではない点に注意したい。

PERで見えてくること

Broadcomは予想PER約18.7倍に対し実績PER約58.5倍という大きな差がある。これは市場が「今後1年で利益が急拡大する」ことを織り込んでいる証拠で、AI XPVという新規事業への期待が数字に表れている。

アドバンテストの予想PER約39.3倍は、3期連続最高益を見込む企業としては決して割安ではないが、四半期利益+93.8%という成長率を考えれば行き過ぎた評価とも言い切れない。

東京エレクトロンは決算直後で予想PERが未反映のため非開示だったが、PBR実績約16倍という水準は同業他社と比べても高い部類に入る。

クラフティアの予想PER約14.4倍・PBR約1.68倍は、今週の8社の中では最も落ち着いた水準だ。ただしこの数値は過去の決算をベースにしたEPSから計算されており、データセンター・半導体工場向け特需という今季の伸びはまだ反映されていない。実態はこの数字よりも良い可能性がある。

キオクシアHDの予想PER約49〜53倍・PBR約12.38倍は、今週の中でも高めの評価だ。こちらも同様に過去決算ベースの数値であり、メモリー市況の急変動を考えると今後の決算で大きくブレる可能性がある指標として扱いたい。

Astera Labs vs Credo——AI接続インフラの二強

今週深掘りできなかった2社を見ておく。どちらもAIデータセンター向け高速接続ソリューションの専業だ。

Astera Labsは第2四半期売上$3億9,240万(前年比+104%)、調整後EPS$0.80(予想$0.69を+15.9%上回る)という決算を出した。Scorpio X AIファブリックスイッチが予定より早く量産開始し、PCIe 6.0製品が四半期売上の50%超を占めるまで拡大している。前向きPSRは約19.1倍。

Credo Technologyは2026会計年度通期売上が$13億を突破し、前年比3倍以上という成長を遂げた。第2四半期の非GAAP営業利益率は前四半期比290bp拡大の39.1%で、成長率だけでなく収益性の高さも際立つ。前向きPSRは約16.3倍とAstera Labsよりやや割安な評価だ。

数字で見ると、CredoはPSRで割安、Asteraは成長率で優位という、綺麗に評価軸が分かれる2社と言える。

クラフティア・キオクシア——数値は取れたが「過去」の数字であることに注意

クラフティアは九州地盤の電気設備工事会社で、半導体工場・データセンター建設ラッシュの直接的な受益者という立ち位置だ。同業の関電工が「半導体工場やデータセンター投資が追い風」として株価上昇していることからも、この業種全体への追い風は本物だと見ている。PER14倍台という水準は、今季の特需を織り込めばさらに割安になる可能性を秘めている。

キオクシアHDはNAND型フラッシュメモリで世界シェア3位。ただし7月中旬のASML開示をきっかけとした半導体・AI関連株の世界的急落で16%超下落した経緯がある。メモリー市況は循環が激しく、AI特需の恩恵と市況悪化リスクが常に隣り合わせにある銘柄だと理解している。PER49〜53倍という数字も、次の決算で大きく動く可能性がある。

今週の3社に共通していたこと

Broadcom・東京エレクトロン・アドバンテスト、いずれも個社の業績自体に問題はなかった。それでもAI・半導体セクター全体への過熱警戒、金融構造への懸念、地合いの悪化によって売られた。「良い決算でも売られる」というのは先週の光通信テーマでも見たパターンだが、今週はそれがより広く、セクター全体を巻き込む形で表れた週だった。

個人的な話をひとつ——アドバンテストで10倍株を逃した経験

木曜の記事ではアドバンテストの業績と株価の乖離について書いたが、実はこの銘柄には個人的な因縁がある。

過去にアドバンテストを保有していて、利益が乗ったところで売却した。当時としては満足のいく利益確定だったはずなのに、そこから株価はさらに伸び続け、売却時点から数えると利益部分だけで実に10倍という水準まで到達している。完全に「10倍株を途中で降りてしまった」形だ。

今でもこの銘柄の株価を見るたびに、あの時の売却を思い出してしまう。もちろん「もっと持っていれば」という結果論に意味はないと分かってはいるが、それでも追ってしまう銘柄というのは誰にでもあるものだと思う。今週のように業績が強いのに株価が売られる場面を見ると、「今度は正しいタイミングで入れるだろうか」と考えてしまう自分がいる。

8社をどう見るか

Broadcom・東京エレクトロン・アドバンテストは、予想PER・実績PERともに高水準だが、今回のセクター調整が一巡すれば業績通りに再評価される可能性が高いと見ている。Astera Labs・CredoはPSR16〜19倍という水準で、成長率の高さを考えれば妥当な範囲だ。クラフティアは今週の中で最も割安な水準に見え、今季の特需が数字に反映されるタイミングを待ちたい。キオクシアはメモリー市況次第で評価が大きく変わりうる銘柄として、引き続き注視していく。

来週のテーマは電力・エネルギーインフラ。今週何度も話題に出た「データセンターの電力需要」を軸に、Jパワー・イーレックス・関電工などを中心に深掘りする予定。

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